【書籍レビュー】不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方【★★★☆☆】

書籍レビュー

【一行要約】成功するには、●●●キャッシュフローを見ろ

不動産経営 誰も教えてくれないお金の残し方:川村龍平
100室所有、無借金経営ん成功モデルを分かりやすく解説

著者は、元銀行、外資系金融機関で働いた経歴をもち、
純資産10億円
という巨額の資産形成に成功しています。

その著者が
フルローンのリスク
黒字倒産の罠

について解説しています。

もっとも大切なのは税引後の手残り

・かぼちゃの馬車は、表面利回り7%を謳うも、税引後の手残りは年間180万
 └実際の手残り利回りで0.473%!!!
・一番大事なのは、20年、30年後までの税引後手残りの長期シミュレーション
 └黒字倒産回避のためには、キャッシュフロー分析が必須

不動産3ステージ

税引後キャッシュフローを3つのステージで検討する

①ステージ1(購入後10年以内)
 └減価償却や借入利息の額が大きいため、課税対象が少なくなり、手残りが多い時期
②ステージ2(購入後20〜30年)
 └建物老朽化による空室損で、収入そのものの減少
  減価償却の減少や元本返済が進むことで税額が増えていき、手残りが減る時期
③ステージ3(購入後30年以上)
 └支払い利息、減償がなくなるため税額負担増えるも手残りは大幅にアップする時期

自主管理でキャッシュフローの最大化を目指せ

・管理費は賃料の5%とした場合、税引後手残りでみると4割近くになる場合も
 └巨額の管理手数料をゼロにできれば、大幅なキャッシュフロー改善になる

・不動産投資は構造不況業種であるからこそ、備えるべき
 ①人口減による受給の悪化
 ②人々の所得減による価格や賃料の下落
 ③金利上昇による廃業聞き
 →少しでもキャッシュフローを残し、ステージ3に滑り込むことが生き残りの道

黒字倒産との戦い

・「家賃収入-返済=儲け」は幻想。税引後の手残りベースで見るべき
・そもそも不動産投資は富裕層向けの投資であるという歴史を忘れるな
 └3割自己資金は当たり前。フルローンは超低金利制作の「あだ花」
・バブル時代においても、フルローンはなく、頭金は必要なのが当然である

不動産投資の正しい利回り
 ①収益 – 支出=粗利益
 ②課税所得 = 収入 – 経費 → 課税所得から税額を算出
 ③粗利益 – 税額 = 税引後キャッシュフロー
 ※収入・・・家賃総額+更新料+他雑収入
 ※経費・・・管理費、支払い利息、減価償却費、修繕費など

・減価償却が減少すると、課税所得が増えるという基本前提を理解する
 └税引後キャッシュフローの分析は、まず減価償却がどこでなくなるかを把握する
・黒字倒産とは、借入金が返済し終わらない前に
「減価償却費」と「借入金利息」による償却が少なくなると、課税所得が上昇し、
 支払う税金が毎月のキャッシュフローを上回る事態に陥ること

危機の回避方法

・減価償却が終わる年に改修工事を計画し、経費の減少を抑える
 └修繕によるバリューアップ+税額を抑えることができる
・購入額に占める建物の割合を多くとる
 └土地:建物比で、建物を5〜6割ぐらいとるのが理想(建物の細分化)

キャッシュフロー最大化には自主管理

・成功大家ほど自主管理している
 ①管理手数料5〜10%節約
 ②賃借人との交流による定着率のアップ
 ③補修部分をいち早く把握→計画的修繕を行う
 ④できる補修を自分で行い、修繕費の大幅な圧縮が可能
 ⑤ルームクリーニングを自分で行うことにより、自己物件への愛着が増す
 ⑥業者に頼んだ場合でも仕事ぶりのチェック・監視機能
 ⑦修繕費の相場把握でのシビアな発注につながる

金融マーケットの基礎知識

債券と株の関係

・株価が上がると債券価格は減少(利回りは上昇)
 株価が下がると債券価格は上少(利回りは低下)

・アベノミクスは逆の動き(株価が上昇しているが、利回りは低下)
 └異次元の金融緩和により、国債の価格を高値で維持しているため
  →国債の価格を市場に任せると暴落→高利率でないと国債の買い手がいなくなる
  →結果、国債償還のための数十兆単位の予算が必要になる
・日本政府は、これからも日銀を通じて買いオペを進め、
 債券価格を維持するだろうという、希望的観測が市場を支えている

為替と債券の関係

・円高になると債券価格は上昇(金利は低下)
・円安になると債券価格は下落(金利は上昇)

日本の大家さんと、不動産業界への提言

・フルローンのリスクを知るべし(頭金をいれることで圧倒的に安定する)

・総資産額ではなく、純資産額で勝負すべき
・新築信仰を捨てなさい
・1法人1物件は、物件を買うことが目的になっている
 法人から個人に対して利益を引っ張ってくることを正しく理解できていない
・法定耐用年数は、住むという実態に即しておらず不動産業界のあり方を歪めている
・建設業や不動産業を景気の調整弁にするのはやめよう

【まとめ】金融・経済の大局観を養い、リスクに十分備えた不動産投資こそが生き残ることができる

・タイトルの正解は、「税引後」
・不動産への厳しくも深い愛情を注ぐことが大事、その手間を惜しむなという
 筆者の主張には賛成です(ここまでストイックにやるべきかは疑問も残ります)
・まずは、「税引後」の重要性を改めて理解することはいい機会ではないでしょうか。

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