【書籍レビュー】教養としての投資【★★★★☆】

書籍レビュー

【一行要約】一番大事な投資基準は、会社の●●

教養としての投資:奥野一成

著者は、農林中金バリューインベストメンツという投資運用会社の最高責任者です。

×20年間持ち続けられる銘柄の探し方

をテーマにした本ではなく、

「投資はビジネスの最良の教科書」

であることをビジネスパーソンに向けた本です。

投資で成功するのは、「総合力」であり、
それは幅広い知識を身につけるのと同時に上手に組み合わせて
自分なりの仮説を導くことで、成功する可能性が高めることができます。

投資家の根源的な思想とは何かを紹介していきます。

投資家としての大前提

・常に受動的で指示待ち人間は「労働者1.0」。
 投資家は広い世界に視野を向け、主体性を持って働く「労働者2.0」であるべき
・労働者2.0のマインドを持つことで、資本家に近くことができる

貧困は遺伝する。
 貧困層の親は「労働者1.0」である、資本家マインドを教育できない
投資としては、自分が働くことではない。
 投資先の人に働いてもらい、そこから得られた収益の一部を分配してもらうこと
投資とは脳みそに汗をかくこと。
 考えて考えて考え抜く行為は、額に汗をかくとと同等に尊い行為である

投資家マインドの育成

・企業の本質的な存在意義は、「自分が給料をもらって生活するため」では足りない。
「社会に付加価値をつける」ことであり、利己の追求するところに利他が生まれる

・投資とは人生100年時代を生き抜くために不可欠。時間という限られたリソースを、
 ①自力で稼ぐための自己投資と、②他力で稼ぐための事業投資に配分すべき

投資の本質は、自己研鑽に励むことで時間とお金を有効配分することを学び、
優秀な他力の力を使い、稼ぐこと

日本人の投資マインド

・日米の金融資産格差の実態
(日本)1995年:1182兆円→2019年:1864兆円(1.55倍/年率+2.3%)
(米国)1995年:2343兆円→2019年:9855兆円(4.2倍/年率+13.3%)
 →インバウンドで観光客が増えたのは、日本なら安く旅行ができるから。
  インフレにもならず、諸外国と比べて相対的に日本の物価が安くなっているから 

・日本人の資本家マインドが浸透しなかった理由
 ①財閥解体による成功体験の喪失
 ②敗戦で焦土化した日本で生きていくうえで全員が労働者1.0になってしまった

・欧米人は、株式投資が得意なのではない
 →マーケットが右上りで上昇を続けてきたために、誰もが儲かったというだけ
 →「東洋の奇跡」である日本の製造業としての成功体験が資本家マインドの足踏みに

・楽して儲かる話はない。メディアを通じて流れてくる情報は役に立たない。
 →美味しい話は投機(ギャンブル)か、詐欺

・株を買う場合は、投機ではなく、「投資」の目線で考える

・株式市場は、短期的には人気投票の場(上下にブレる)に過ぎないが、
 長期的にみれば「価値」の計測器(右肩あがり)として機能する

・教育により「利益がしっかり確保されている会社に投資すれば、細かく売り買いしなくても投資成果は得られる」ことが理解されても、日本は長期投資が根付きづらい
 →米国に比べて利益が増え続ける会社が圧倒的に少ない(我慢ができない)

・ビジネスモデルで一番肝心なのは、
 いかに自分たちのビジネスの周りに高い参入障壁を築くかという点に尽きる 
 投資対象の選別で一番大事なのは、仮説を立てること。


株式投資において一番大事なのは、会社の利益であり、
 その利益を守り増やしていくための参入障壁がどれだけ高いかを考えること
 →利益の定義は、お客さんにとっての課題を発見し、課題解決することによる対価

・株式への投資は、将来の見通しこそが大事。数値では未来は語れない
 PERなどの数値は、未来に利益を稼ぎ続けてくれる会社かは判断できない
過去の値動きで判断するというのは、株価を追っているだけに過ぎないと心得よ
 ※チャートの使い方は、ロスカットや利益確定のポイントとしてのみで十分

・投資の意思決定を下すうえでのインターネットの情報は99%が役に立たない
 使い方として気をつけることは、「事実」か「意見」かをハッキリさせて情報をとる
 情報をとることよりも考えるが大事(考えることと流れている情報の総量は反比例)

・保有株式を売却するときの判断基準は2つ
 ①見立てた仮説が間違っていることに投資した後に気づいた時(▶︎ロスカット)
 ②より面白い投資機会が出てきた時(▶︎銘柄入れ替え)
 ③株価がフェアバリュー(適正価格)対比で上がりすぎた時(▶︎利益確定)

・「株主優待」は、価値の切り売り、株式配当を出す会社も「タコの足食い」で
 将来の企業価値増大を先食いする行為であり、オススメしない

・アクティブファンドが、インデックスに勝てない本当の理由
 コストと言われるが、それは違う。本気で銘柄を選びにいけないという事情論ゆえ
 アクティブを選ぶなら、運用者、哲学、手法、銘柄などの精査が必要である

投資事例

【まとめ】投資とは自分なりの仮説を立てて、企業の将来価値にお金を配分し、その収益を分配を受けること

・タイトルの正解は、「利益」

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